バイオマスの需要①

バイオマス発電の必要性:〜問題点から〜

▷2011 年 3 月 11 日、宮城県沖を震源とするマグニチュード 9.0 という凄まじい地震が発生し、 それに伴う津波が東北地方の太平洋岸を襲った。

地震による災害も勿論大きかったが、その後 の津波によって、計り知れないほどの人命と建物やインフラ等が失われるという甚大な災害を 経験することとなった。

この東日本大震災によって、福島第一原子力発電所は全電源喪失状態となり、原子炉の冷却 が不能となったため、炉心溶融を起こす大惨事となった。

▷コスト競争力の高い電源として、また、地球温暖化対策の切り札として期待されてきた原子力発電は、一気に反対論が勢力を増し、 2014 年 3 月時点で、全国の原子力発電所が停止状態となっている。

 

▷日本は、この東日本大震災を契機に電力需給やエネルギー構成のあり方などを全面的に見直 しせざるを得ない状況となり、エネルギー基本計画は現在も検討が継続されているところであ る。

 

▷このような中、再生可能エネルギーの導入促進を目的として、以前から検討が進められて いた再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed In Tariff:FIT)が 2012 年 7 月から施行さ れることとなった。

それまでは、従来エネルギーと比較するとコストが割高であったため、導入が進まなかったバイオマス等の再生可能エネルギーに経済的なインセンティブを持たせる制度である。

 

▷この制度が後押しすることにより、全国各地でバイオマス発電のプロジェクト計画 が続々と増えてきている状況である。 このように、バイオマスエネルギーを取り巻く状況は、2010 年から大きく変化した。

 

また、バイオマスエネルギーは、太陽光発電風力発電等とは異なり、様々な原料とそれに 対応可能な技術が多種多様に存在する可能性に満ちたエネルギーであるが故に、多種多様な技術開発が進められてきた。

 

▷数々の研究開発や実証試験が実施されてきたが、実用化に至った技術もあれば、 実用化には至っていない技術、また、研究開発の域を出ない技術もあるなど、技術によって状況は様々となっている。