活用しよう森林資源

活用が待たれる森林資源

▷木材の利用は、快適な住環境の形成や地域経済の活性化につながるのみならず、地球温暖化の防止にも貢献する。

▷特に、国産材の利用は、「植える→育てる→使う→植える」というサイクルを維持して、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるとともに、山元に収益が還元され、地域の活性化にもつながる。

 

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日本の森林のいま

本の森林はいま

▷日本は、国土の約3分の2が森林に覆われた世界有数の森林国。

本の森林面積は2,500万ha(うち人工林は1,000万ha)と、本州(2,310万ha)よりも広い面積を有している。

▷森林資源を示す、森林蓄積量は約44億㎥と、30年前から倍増するほど充実しており、今も日本の森林資源は1年間の国内需要量(8千万㎥)と同じ量増えている。

▷また、木質バイオマスの利用状況は、家や家具等の製材を作る工場から出される、端材や木くず、家や建物を取り壊した際に発生する建築発生木材は活用されているが、森を整備するために伐採した木々(間伐材等)は、収集・運搬コストがかかることから、ほとんど利用が進んでいない状況にある。

 

 

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バイオマス導入状況

バイオマスエネルギーの導入状況は?

 

▷木質系バイオマスは中大規模製材所等での建設系廃材を利用した発電(直接燃焼発電)、熱利用が中心であり、多くが直接燃焼によるものである。

▷また、家畜ふん尿を中心にメタン発酵利用するプラントが順次整備されつつある。

設置形態は小規模分散型のものが中心であり、基本的には家畜ふん尿単独で処理されるが、一部に食品 廃棄物を混合処理するプラントもある。

▷また、下水汚泥、し尿・厨芥類をそれぞれメタン発酵するプラントも存在する。

バイオマスエネルギーは、発電利用で 188.8 万 kL、熱利用で 186.1 万 kL、合計 375.4 万 kL の導入と推計されている(黒液を除く)。

 

▷近年、バイオマスエネルギー導入は停滞していたが、 発電利用に関して、固定価格買取制度の開始により導入事業者にとって事業採算の見通しが立ちやすくなる環境となったため、今後の一層の普及が期待されているところである。

 

 

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エネルギーパーク

次世代エネルギーパーク:〜バイオマス関連〜

次世代エネルギーパーク概要:

▷新エネルギーを中心とした次世代エネルギーについて、国民が実際に目で見て触れることで、 日本のエネルギー問題や将来のエネルギーの在り方についての理解を深めるため、「次世代エネルギーパーク」として、資源エネルギー庁では、エネルギー設備や体験施設等の整備を推進し ている。

▷「次世代エネルギーパーク」は、2006 年 5 月に取りまとめられた「新・国家エネルギー戦略」 に基づいて、2007 年より取組みが開始されている。地方自治体等を対象に、上記の趣旨に合致 し、かつ、地方自治体が主体的に取組んでいる、地域の特色を生かしているなどの 6 つの要件を満たしている計画について、認証・公表がなされる。

▷現在全国で 56 件の施設が認定されてお り、その内バイオマス発電およびバイオマス熱利用の設備を設置するエネルギーパークは 38 件ある。

 

バイオマスエネルギーが関連する事例:

真庭市地産エネルギーパーク :

2007 年に認定された最初のエネルギーパーク 6 ヶ所のうちの 1 ヶ所に当たる。

真庭市では 1999 年ごろより地元事業者グループによりバイオマスへの取組みを開始し、2006 年には、「真 庭市バイオマスタウン構想」を推進し、国からバイオマスタウンの認定も受けている。

バイオマス発電や熱利用などの市内一円のバイオマス関連施設を見学できるコースを観光ルート化し た「バイオマスツアー真庭」において、地域資源の活用が体験できるようになっている。

 

浜松市次世代ダイバーシティエネルギーパーク

静岡県内初の公有地によるメガソーラーをはじめ、これまで一般公開していなかった企業等 の太陽光発電や太陽熱利用設備、山間部の豊かな森林資源を活かしたバイオマス設備など規模 や種類の異なる官民合わせた 18 設備をエネルギーパークに認定した。

浜松の持つ多様な再エネポテンシャルを一体的に連携させ、見学できるような工夫を凝らして発信することで、再エネ産業の更なる集積を図る。

 

足寄町次世代エネルギーパーク

豊かな森林を利用したバイオマス熱利用設備など町内の再エネ施設をネットワーク化し、5 つのモデルコースを設定。年間 11 万人が利用する道の駅「あしょろ銀河ホール 21」とも連携 し、再エネ・観光・教育分野での足寄町の魅力発信強化を図る。

固定価格買い取り制度って?

固定価格買取制度とは…?

 

▷2012 年 7 月に施行された固定価格買取制度では、再生可能エネルギーを用いて発電された電気を一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度である。

 

▷本制度によって、これま でコストが高いなどの理由で導入が進まなかった再生可能エネルギーについて、コスト回収の見通しが立ちやすくなり、発電設備の普及が進むことが期待されている。

 

▷本制度で対象となる再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力(3 万 kW 未満)、バイオマスである。

 

▷固定価格買取制度では用いるバイオマスの区分により買取価格が異なるため、「間伐材等由来木質バイオマス」、「一般木質バイオマス」について適切な識別・証明が行 われなければならない。

 

▷そのため、伐採や加工・流通を行う取扱者は、その木質バイオマスが証明されたものであり、かつ他と混在することなく分別管理されていることを証明する書類を交付する必要がある。

 

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図 1-3 固定価格買取制度の仕組み (出典)経済産業省 固定価格買取制度

 

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バイオマスの需要①

バイオマス発電の必要性:〜問題点から〜

▷2011 年 3 月 11 日、宮城県沖を震源とするマグニチュード 9.0 という凄まじい地震が発生し、 それに伴う津波が東北地方の太平洋岸を襲った。

地震による災害も勿論大きかったが、その後 の津波によって、計り知れないほどの人命と建物やインフラ等が失われるという甚大な災害を 経験することとなった。

この東日本大震災によって、福島第一原子力発電所は全電源喪失状態となり、原子炉の冷却 が不能となったため、炉心溶融を起こす大惨事となった。

▷コスト競争力の高い電源として、また、地球温暖化対策の切り札として期待されてきた原子力発電は、一気に反対論が勢力を増し、 2014 年 3 月時点で、全国の原子力発電所が停止状態となっている。

 

▷日本は、この東日本大震災を契機に電力需給やエネルギー構成のあり方などを全面的に見直 しせざるを得ない状況となり、エネルギー基本計画は現在も検討が継続されているところであ る。

 

▷このような中、再生可能エネルギーの導入促進を目的として、以前から検討が進められて いた再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed In Tariff:FIT)が 2012 年 7 月から施行さ れることとなった。

それまでは、従来エネルギーと比較するとコストが割高であったため、導入が進まなかったバイオマス等の再生可能エネルギーに経済的なインセンティブを持たせる制度である。

 

▷この制度が後押しすることにより、全国各地でバイオマス発電のプロジェクト計画 が続々と増えてきている状況である。 このように、バイオマスエネルギーを取り巻く状況は、2010 年から大きく変化した。

 

また、バイオマスエネルギーは、太陽光発電風力発電等とは異なり、様々な原料とそれに 対応可能な技術が多種多様に存在する可能性に満ちたエネルギーであるが故に、多種多様な技術開発が進められてきた。

 

▷数々の研究開発や実証試験が実施されてきたが、実用化に至った技術もあれば、 実用化には至っていない技術、また、研究開発の域を出ない技術もあるなど、技術によって状況は様々となっている。

 

 

バイオマス燃料製造

▶︎バイオマスを燃料に変える

バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称で、これらの資源からつくる燃料をバイオマス燃料と呼ぶ。 つくられる燃料は、ペレットなどの固体燃料、バイオエタノールやBDF(バイオディーゼル燃料)などの液体燃料、そして気体燃料と様々なものがある。

木質ペレット

木質ペレット 利用の流れ

バイオエタノール

バイオエタノール 利用の流れ

 

バイオガス 利用の流れ

バイオディーゼル燃料

バイオディーゼル燃料 利用の流れ